約 431,391 件
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/203.html
186 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/16(日) 23 30 09 ID uEkEZTew0 桐乃「えーっと…エロ本で妹モノっと。」 カタカタ 桐乃「-眼鏡、-黒髪、-ゴスロリっと…。」 カタカタ 桐乃「あ、でたでた。うわ、エロ…。こ、こういうのなんだ…。」 カタカタ 桐乃「宛先は…高坂京介っと…。よーし。あとは、眼鏡のエロ本を処分処分。」 数日後 佳乃「京介ー?あんたに荷物きてるけどー。」 京介「へ?俺なんか注文したっけ…?まぁた、沙織のやつ俺に送ってきたのか?」 桐乃「(…きたわね。)」 京介「俺宛てだな。アマ○ンから?何も注文した覚えねぇんだけど…。」 ぺリぺリぺリ 桐乃「(ちょっ!?何で玄関であけ…っ!!?)」 佳乃「…妹の秘密、妹の放課後、妹王国…。」 京介「………あ、あのなお袋?話を聞いてくれ…。」 佳乃「…やっぱりあんたそうなのね!?」 京介「違う!俺じゃない!!俺はしらねぇえええええ!!!」 桐乃「(………ごめん兄貴、次はダウンロード販売にするから…)」 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1251.html
137 名前:【SS】立冬 1/2[sage] 投稿日:2011/11/08(火) 19 03 28.04 ID X2m+HGjQ0 [1/8] 京介「ただいまーっと」 桐乃「おかえり」 京介「おう。 ……ん?おまえスリッパ変えたか?」 桐乃「うん。 今日は立冬。 冬が訪れてますます寒くなるから、モコモコスリッパに変えた」 京介「そのくじらスリッパあったかそうだよな」 桐乃「そう言うと思って、あんたの分も用意しておいてあげたよ」スッ 京介「おお! ありがとうな」ハキハキ 京介「だいぶあったかいな。人肌のような温かさだ。 まるで今まで誰かが穿いていたみたいだぜ」 桐乃「キモ!あたしがあんたのスリッパを直前まで履いてたみたいに言わないでよね」 京介「だれもそんなこと思っちゃいねえよ。 豊臣秀吉じゃあるまいし……」 桐乃「というか、あたしのスリッパが変わっただけですぐに気がつくだけでもキモいんだけど。 帰ってきてすぐにあたしの全身を嘗め回すように見たってことでしょ?」 京介「ソ、ソンナコトシテナイゼ? 偶然たまたま気づいただけだって」 桐乃「ふ~ん」 京介「それより、冬となればあれだな。 コタツの出番だな」 桐乃「露骨に話題をそらしてきたね。まあ、いいけど。 コタツだけど、今日メルル仕様のコタツ入手してきたから」 京介「メルル仕様のコタツだと……? 相変わらずオタクの感性は理解できんな。 それより、メルル仕様のコタツなんてどうするんだ? リビングじゃ使えねえし、おまえの部屋もオタクだってばれちまうから駄目だろ?」 桐乃「平気。 あんたの部屋に置いといたから。 これならあたしのオタク趣味もばれないし、部屋も狭くならないし問題ないでしょ?」 京介「俺にとっては問題しかないわ!」 桐乃「コタツを自分の部屋で独り占めできるんだからいいでしょ?」 京介「たとえメルル仕様だとしても、コタツ独り占めは魅力的だな」 桐乃「あ。でも、あたしのなんだからあたしも使わせてもらうよ」 京介「独り占めじゃねえし!」 京介(まあ、コタツを理由に桐乃とずっといられるなら文句はねえか) 桐乃「それじゃあ、あんたの部屋に行こっか」パタパタ 京介「ちっ。仕方ねえな」 138 名前:【SS】立冬 2/2[sage] 投稿日:2011/11/08(火) 19 03 51.08 ID X2m+HGjQ0 [2/8] 京介「メルル仕様って聞いたからもっと小さい子供用かと思ったらそうでもないんだな」 桐乃「うん。子供用だからって子供だけで入るわけじゃないでしょ?」 京介「ガラももっと派手かと思ったけど、大人しめだな」 桐乃「これだとちょっと寂しいから、今度御鏡さんにデコってもらうつもり」 京介「全裸の幼女がデカデカと書かれたコタツなんか家に置いといたら親父に殺されるぞ」 桐乃「うっ……じゃあ、小さいのを書いてもらおう」 京介「それじゃあ、コタツに入ってみるか」モゾモゾ 桐乃「あたしもあたしも」モゾモゾ 桐乃「スイッチ入れてないけど、ちょっとだけあったかいね」 京介「二人ではいるとちょっと狭いか?」コツン 桐乃「足伸ばすときには気をつけないとね」コツン 京介「言ってる側から伸ばしてくるなよ。足が絡まるだろうが」コツコツ 桐乃「変に伸ばしてるのはあんたでしょ?」コツコツ? ???「きゃん!」 京介「ん?」 桐乃「あれ?」 京介「おまえ何か言ったか?」 桐乃「なにも? あんたじゃないの?」 京介「気のせいか? ……とりあえず、今から勉強するから、飲み物にホットミルクでも用意するか」スクッ 桐乃「あたしの分もよろしくね。 あたしはノーパソ持ってこようっと」スクッ テクテク ばたん モゾモゾ あやせ「ふぅ。やっぱりコタツだと狭すぎますね…… 桐乃、思ったとおり、加奈子から貰ったコタツを悪用してるけど、どうやって止めよう。 お兄さんがコタツの中で桐乃にいやらしいことしても、外からじゃわからないし、どうにかしないと…… とりあえず今日はベッドの下で監視を続けて、その結果から対策を立てましょう」 モゾモゾ あやせ「やっぱり、ベッドの下の方が落ち着くなぁ。 でも、冬の床は冷たいから、今度ホットカーペットを持ち込もっと。 あと、桐乃とおそろいのくじらさんスリッパも買わなくちゃ♪ そうすればお兄さんともペアルックですね!」 157 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/11/08(火) 20 15 01.90 ID X2m+HGjQ0 [4/8] 137を書いた後に変な電波を受信した。 佳乃「ねえ、京介。 あんたお母さんたちに隠れて、変な動物飼ってないでしょうね」 京介「動物? 犬も猫も飼ってないぞ。 なんかあったのか?」 佳乃「あんたの部屋を掃除してたら、ベッドの下からこんなのが見つかったのよ」 京介「だからベッドの下の掃除はしないでくれって…… って、なんだこりゃ」 佳乃「ホットカーペットでしょ、枕でしょ、毛布でしょ…… あと中学校の参考書とか、ビデオカメラとか、手錠とか……」 京介「女物の衣類まであるな」 佳乃「京介。 怒らないからちゃんと答えなさい。 これらはどこから盗んだの!?」 京介「盗んでねえよ!」 桐乃「そうだよ! 京介は部屋に置いておいたあたしのパンツだって着服せずにあたしの部屋に戻すんだから、他の女の服を盗んだりするはずないじゃ ん!」 佳乃「え?」 京介「え?」 桐乃「え?」 佳乃「……とりあえず今の話は置いておくとして、それじゃあこの服とかは一体なんなのかしら?」 京介「あ~…… 野生のあやせでも住み着いてるんじゃないか?」 ※野生のあやせ※ ・野生のあやせはベッドの下に住みます。 ・不用意にベッドの下に手を伸ばすと切り付けられたり、手錠を嵌められたりする場合があります。 ・部屋や家えの施錠は無意味です。 ・警戒心が強いので、滅多に人の前に姿を現しません。 ・昼間は学校に行っています。 ・妹とイチャイチャしているときに視線を感じた場合、まず間違いなく貴方はあやせに狙われています。 ・好物は親友や親友の兄の衣類や生写真です。 好物を罠の中に仕掛け、部屋を出たフリをすると、簡単に引っかかります。 ・加奈子を埋める修正があります。 ほとんどの加奈子は後に掘り起こされますが、掘り起こされなかったものは春になると新たな命として芽吹きます。 ・ベッドの下を覗いた時に目が合ったとしても、騒がずに「コンビニに行ってくる」等の口実で部屋を出て、 その後部屋にいる人を速やかに携帯等で呼び出しましょう。 いたずらに刺激するのはとても危険です。落ち着いた行動を心がけましょう。 ・あやせは人に馴致しにくい動物ですが、愛情をもって接すればちゃんと懐きます。 根気良く接して、見事DEAD-ENDを回避しましょう! -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/399.html
363 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/03/08(火) 21 04 07.06 ID c1KdWPE90 [2/2] ※注:オリキャラ有り SS『高校見学会』 今日は、高校の見学会の日だ。 あたしも、もう中学三年生。 そろそろ進学先を考えないといけないけれども、ちょっと迷ってる。 だって、あいつは今度大学生になってしまうんだし……… 「桐乃ー?早く行こ?」 「う、うん。あやせ、そんなに慌てないでよ。」 そんな事を思っているうちに、あいつの高校が近づいてくる。 あやせに加奈子、ランちん、それに、鈴木さんと成尾さん、高橋さんに淵辺さん。 8人のグループで参加することになったのだけど、正直、憂鬱だ。 はじめに、他のグループの人と一緒に校長先生の話を聞いた。 この高校の校風とか、歴史とか、まあよくある話だ。 あたしやあやせなんかは、それでもちゃんと聞いてるんだけど、 加奈子なんか途中で寝ちゃって、ある意味うらやましい。 先生の話の次は、在校生がグループ毎に高校を案内してくれるらしい。 正直、困る。先生が案内してくれればいいのに……… ううん、別にあいつって決まったわけじゃない。 「誰が案内してくれるのかな〜?」 「やっぱ、カッコいい人が良いよね〜」 「それより、私は女の人に案内してもらう方が良いな〜」 「桐乃は?やっぱ、3歳以上年上の人が良いっていうし、カッコいい人が良い?」 「え?あたし?あたしは………誰でもいいかもぉ〜」 だって、あいつが来たってどうしようもないし、 あいつが他の女の子の目にさらされるのって、何かイヤだし。 「ええと、君たちがB班?」 「って、兄貴!?」 あたしの目の前にあらわれたのは、こともあろうにあたしの兄貴だった。 「えっ、お兄さん?」 「んー?なんだ、桐乃の兄貴かよ。」 「高坂さんって、お兄ちゃんがいたんだー!」 「えー!?高坂さんのお兄さん?やだ、結構かっこいいかも!」 みんな口々に勝手なこと言っている。これだから、イヤだったのに… つーか何?あたしの兄貴がかっこいい?ふざけんな! 「な、なんつーか、照れるな。そ―――」 「も、もうっ!あ、兄貴困ってるじゃん? それに、そんなに褒めたらコイツ、すぐその気になっちゃうんだからっ!」 つーか、デレデレすんなっての。 とりあえず、みんなに見えないよう、肘打ちを一発入れておく。 「ぐっ………そ、それじゃあみんな?まずは教室を見てまわろうか?」 「はぁ〜い!」 とりあえず、あの馬鹿兄貴は自分の仕事を思い出したようで、 みんなを先導して、教室に向かい始める。 あたしはとりあえず、あいつから離れたポジションを確保する。 「ここが、俺たちの教室だ。結構綺麗だろ?外がガラス張りで眺めも良いんだ。」 「そんなん誰が見たって分かるし。あんた、もうちょっとマトモな説明しなさいよ。」 あたしの友達も居るってのに、しまらないやつだ。 「ちょっ!?………そ、それじゃ、何か質問あるかなー?」 「はい!高坂さんは彼女いるんですか!?」 な!?あんたらいきなり何言い出すのよ!? 「ええっ!?か、か、彼女!?」 「うわ、動揺してる〜あやしぃ〜」 「お、お兄さん?」 「えー?こんな地味男に彼女なんているわけねーじゃん。つーか、加奈子の趣味じゃねーしよ〜」 あんたちゃんとしなさいよね!?あたしに恥かかせる気!? 「ちょ、ちょっとぉ〜、みんな落ち着いてよぉ〜。 あたしの兄貴ってさぁ、ほんっとダメでさぁ、彼女とか居ないから〜」 「え〜?本当〜」 「お、おまえ!?」 (あんた、正直に居ないって言いなさいよ!) (お、おまえ、俺に彼女が居るかどうかしらねーだろ!?) (あの地味子だって彼女じゃないんでしょ!?) (そりゃ、そうなんだが…) (何?あの黒いの?結局あれもただの偽装だったじゃん) (わーったよ、居ないって言えばいいんだろ!?) (何怒ってんのよ?ホントのことでしょ!?) 「あのー………」 「ご、ゴメンな!桐乃の言うとおり、俺には彼女なんていねーぜ!」 よし。とりあえず良しとしておこう。 ………あれ?でも、居るってことにしておいた方が、良かったのかな? 「そっかー………」 「ふちべぇどしたの?」 「なるちゃん。わたし、分かったかも!」 「え、なになに?教えて!」 「桐乃ちゃんと高坂さん。恋人同士っぽい!」 「「………………………は?」」 えーと………淵辺さん? 「いやー、さっきの二人のこそこそした会話! アレ、絶対禁断の恋を隠そうと色々画策していた証拠だって!」 「な、な、何いってんのよ、アンタ!?」 「そ、そうだぞ!?俺と桐乃が恋人同士のわけが!」 「くひひ、マジかよ〜。桐乃ってば兄貴と恋人なのかよ〜」 「お兄さん?言いましたよね?桐乃にいかがわしいことしたらブチ殺すって?」 「あ、あやせちゃん!?何か怖いよ!?」 「今だって、二人でそんなくっついてぇ〜」 ええっ!?そ、そうだ!あたしなんでこいつの腕握ってんの!? 「ち、違うのっ、こいつちょっと背が高いから、腕引っ張んないと顔を近づけられないの!」 「顔?近づける?」 「そっかー、桐乃ちゃんさっきはキスしようとしてたんだー」 「お、おまえっ!?キスしようとしてたの!?」 「あんた、話聞いてたのに分からないワケ!?」 「ウソウソウソ」 「あ、あやせちゃん?め、目から光彩が消えてるよ!?」 も、もうヤダっ!なんであたしがこんな目に……… 「あら?先輩、騒々しいわね。」 「「く、黒猫!?」」 「黒猫………?」 なんで、こんなところにコイツがいるのよっ!? しかも何?なんであんたが制服着て―――そっか、こいつもここの学生だったっけ? お、おちつけ、あたし。いくらなんでも混乱しすぎだ。 「あのー………黒猫………さん?」 「そうよ。私の真名よ。」 「まな?………と、とりあえず、高坂さんと桐乃ちゃんって付き合ってるんですか!?」 ブッ!?な、なんてこと聞くのよ!?こ、このスイーツ脳!? って、何か悪寒が………く、黒猫!?あ、アンタ、目が笑って!? 「そうよ、その通り。この兄妹は、周りの人間がみたらイラつくほどのバカップルよ。」 「「「「キャーーーー!!!」」」」 周りで、凄まじい歓声があがっている。 あたし、あしたから学校いけないかも……… 「高坂ぁー!何やっとるか!」 「え?あ、す、すんません!」 「まあ、可愛い女子中学生に囲まれて浮かれる気持ちはわかるが、仕事はちゃんとしろ!」 「はい、すいませんでした!」 「そうだな………五更。高坂は浮かれとるからな、代わりに学校の案内をお願いできるか?」 「あ………はい………」 幸い、さっきの先生の一喝で萎縮してしまったのか、黒猫もそれ以降は兄貴の話をしなかった。 それに、あやせがブチ切れながらではあるけど、誤解を解いてくれた……… な、なんとか助かった……… 学校の見学会が終わり家に帰り着くと、玄関で兄貴が待っていた。 「桐乃。今日はすまなかった。」 「………あんたがすぐ、女の子にデレデレするからだからね」 「と、とりあえず、誤解は解けたか?」 「………………………フン!」 誤解?………知るもんか! 「やっぱり、俺がもっとちゃんと説明しないと不味かったよな………」 「………………………」 「わかった、俺があやせや加奈子なんかに頼んでなんとかする。黒猫にも言い含めておく。」 「………………………」 「それで、それでもダメで、どうしようもなくなったら……… 俺がこの先、一生お前を養ってやる。」 「き、キモッ!や、養ってやるって、あ、あ、あんたっ!?」 「な、何か俺、ヘンな事言ったか?」 「じ、自分で考えてよねっ!」 あたしは、逃げ出すように、自分の部屋に転がり込んで鍵をかけた。 い、一生養ってくれるの!? こ、これって遠まわしなプロポーズなの!? ヤダ、胸がドキドキしてとまらない、ホントにどうしてくれんのよ! もうっ………サイアクなんだから……… End. -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1329.html
41 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/12/20(火) 10 06 47.26 ID sG0WOrXQ0 [1/2] SSほんの少し先の未来 車の外はあいにくの雨。なのにあたしの心はほんのりと暖かい。 理由はきっと、あたしの隣のあいつのせい。 ――ったく、間が悪いよな。折角の日が雨なんてついてねえ。 サイドガラスに流れる雨を横目で見ながらつぶやく京介。 その表情はあたしに済まない、と語りかけている。 そんなこと無いってば。あんたは最初の日にあたしを選んでくれたんだよね。 それだけであたしは超嬉しいんだよ? 京介はあたしの答えにぎこちなく笑いかけ、再び正面に向き直る。 その手に握られているのは、傷ひとつないまっさらなハンドル。 真っ白に包まれた車は始まったばかりのあたし達の関係みたい。 ――初運転だと緊張しちまうな。 額の汗を拭いながら運転する京介。 時折あたしに視線を投げかけてくるのは、あたしを心配しての事だろう。 もう、心配しなくても、あたしはずっとあんたを見てるっての。 てゆか、そんなにあたしばっか見てたら危ないじゃん! あんたが怪我したらどうすんの。 信号待ちの僅かな間にあたしはハンカチで京介の汗を拭ってやる。 その幸せそうな表情を見てるだけであたしまで嬉しくなってくる。 ――サンキュ、桐乃。このハンカチ、いい匂いがするぜ。まるでお前みたいだ。 何カッコつけてんの、このバカ。あたしの事なんてなんでも知ってるくせに。 京介らしくない乙女心をくすぐる言葉。だけどキュンとしてしまうあたし。 ねえ、向こうに着いたら思いっきり泳ごうね。もちろん、二人きりで。 あたしの水着姿を傍で見ていいのは、あんただけなんだから。 耳元で囁くように言葉を放つと、真っ赤な顔でちらりと視線だけ投げかけてくる。 ――おまっ、突然何言い出すんだ!? つか向こうについても雨が降ってるかもしれねえぞ。 それでも……泳ぐのかよ。 至極当然の答えを返してくる京介。だけどその目はあたしの胸元を彷徨わせている。 そんな目であたしを見ておいて、何言ってんのっ。 あたしは、京介さえいればいいの。雨が降ってようが嵐が吹いてようがあたしにとって些細な 問題なんだから。 ――そうだよな。俺もおまえがいれば他には何もいらないぜ。 車を止めた京介は、何かを求めるような表情であたしをじっと見つめている。 そんな顔されたら拒めないってば……。しょうがない、連れてきてくれたご褒美あげないとね。 あたしは京介にそっと顔を近づけていく。どんどん近くなる京介の顔。 ――桐乃、愛して――。 京介の言葉をさえぎるように唇を重ねるあたし。 言われなくたって、あんたの気持ちはわかってるっての。あたしの行動が、その答えだから。 数瞬の後、あたしは京介から少しだけ距離を取る。視線の先には名残惜しそうな京介の顔。 そんな顔しないでってば……向こうに着いたら好きなだけ――ね。 あたしの答えに京介は前へと向き直る。 ――約束だぜ桐乃。今日こそはお前と一つになるんだからな。 ば、ばかっ。言わなくても…………超恥ずかしいじゃん。 あたしの反応を満足げに見た京介は、前へと向き直る。その表情は少しだけ意地悪そうだ。 だけどその瞳はとても優しげな光を湛えながら、あたしを見ているのは雰囲気で分かる。 相変わらず変な所は意地悪なんだよね。あたしを好き過ぎて、あたしの事ばっか考えてる癖に。 あたしは軽く京介を睨み――左わき腹を抓ってやる。 ――痛え! この……俺がいつもやられっ放しだと思うんじゃ――ねえよ! 言いながら京介はあたしを左腕で強引に抱き寄せる。京介のなすがままに胸元へと引き寄せら れるあたし。 きゃっ! もう、京介ってば、いきなりなにすん――っ!? ――――――ふう。さっきのお返しだからな。 そう言い放つと京介はあたしをそっと席へ戻しながら、シートベルトを締めてくれた。 そして自分のシートベルトを締めると、ゆっくり車を走り出させる。 京介のやつ、いつの間にこんなに強引な性格になったんだろう。――でも。 あたしはまだ感触の残る唇を指先でなぞりながら、京介の横顔を見る。 やっと……一緒になれたんだから、今回は特別に許してあげるかんね――。 ◇ ガッタンゴットン……ガッタンゴットン……! 「しっかし桐乃のやつ、すっげぇアホ顔してんな。一体どんな夢見てんだ? ヒヒ」 「ま、まあいい夢見てんじゃねえのか? 長年抱えてた問題もほぼ解決しちまったし、卒業 してようやく桐乃のスタートラインに立てた感じだろうしな」 「桐乃の……ねえ。へー。桐乃専属のセクハラマネージャーは関係ねえのかヨ」 「あー……ま、まあ少しは関係あるかもな」 「……お兄さん、後で――分かってますよね?」 「ちょ! まてあやせ。お前は何か勘違いをしていると思うぞ!?」 「そうかあ? さっきからさあ、たまに『京介ェ』とか『愛し――』とか聞こえて来るんだけ どヨ。――あやせ、どう思う?」 「ぶち殺します。――――幾ら認めたとは言え、時と場所を選んでくれなきゃ……ブツブツ」 「待てっ! なんで折角みんなで旅行に行く途中だってのに殺されなきゃなんねーんだ!? ていうか桐乃のあれは寝言じゃねえか!」 「桐乃が寝言を言うくらい如何わしい事をしているって事ですよね!」 「えへへ。楽しそうだね~」 「麻奈実! そこで煎餅なんて食ってねえで助けろ!」 「これ美味しいよ~。きょうちゃんも食べる?」 「違げぇ!! ――ったく桐乃のやつが変な夢みてるお陰で……ま、いいけどな」 「……相変わらず、この色ボケ兄妹は所構わず盛っているわね」 「黒猫、寝てたんじゃねえのかよ」 「お盛んなどこぞの兄妹(兄)の大声が聞こえたものだから」 「その人様に勘違いされそうな表現は止めろっつーの!」 「良いではござらんか。愛する二人と言うものには、周りは見えないのでござるよ」 「くっ畜生! やっぱり奮発して個室にしとくんだったぜ……」 「……ん……きょうす、け?」 「ほっ……桐乃。起きたか?」 「――――大好きっ! ……すぅ」 「お……おまっ」 「この兄妹は――」 「「「「「末永く爆発しナ!」しなさい!」するといいよ~」すればいいわ」するでござる」 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/745.html
320 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/05/30(月) 00 13 44.19 ID W1TuvYR/0 「はぁ?なんだそりゃ」 正直『気持ち悪いくらいの笑顔』で俺は悪態をついた。 俗にいう急展開だよ、内心そうじゃないかな~とは思っていたが、どうやら本当にフラグが立っていたようだぜ。 「 何でそんなことしなきゃいけねーんだ?」 だめだ耐えられない!声が桐乃に届かないように携帯を手で隠しながらフヒヒヒヒヒと悶える俺マジキモい おっと教室内がざわっとしてしまった。 このクラスにおいて俺の立場は今や牛乳雑巾以下である。 変態だの二股だのドMだのどれも身に覚えが……あるなぁちくちょう。 見ろよあの女子集団のこっちを見る目! 脱皮したての白ゴキブリだってもう少しまともな目で見てもらえるだろうぜ。 しかし今の俺におまえ等の視線なんぞ痛くも痒くもないね! さて諸君!状況を説明しよう。 試験時期の関係で早めに授業が終わり、帰り支度を始めた瞬間の事だ。 大変珍しくも桐乃から電話がかかってきた。んーもしかして向こうからの電話は初めてだっけ? でね、でね、妹様が電話ごしに言ったのは 『ねえ、適当でいいから愛の告白して欲しいんだけど、今すぐ』(←超そっくりなものまね) とまあ、常識外れのものだった。 なにが適当でいいだ、バーカバーカ俺を殺す気か! ハイ状況説明終わり。聞いた?聞いた? なんだか俺を担当する声優さんにものすごく負荷のかかる状況説明だったような気がするぜ。 つーかさぁ(半音上がり) 愛の告白しろって、どんだけ俺の事好きなんだっつーのなあ? むしろお前の今のセリフが告白そのものですよぉお! それによ、なにも電話じゃなくてもいいよなぁ 毎日あってるんだし。 それともあれか、『今すぐお兄ちゃんの声きかないと桐乃おかしくなっちゃう!』ってこと? フヒッ、自分で想像しただけでヤバイ、マジヤバイわー 〈……だからね〉 いやー実質告られちゃったもんなぁ。 お兄ちゃんマジで参っちゃうなぁ 帰りに薬局へよるべき?コンビニでも売ってるよな? いや、冗談だって、冗談冗談。 それよりも『買ったまま眠ってたアレ』が活躍するチャンスじゃねーか。 厳重にかくしてあるからお袋にも桐乃にも見つかってないはずだ。 〈……ちょっと〉 「ちょっと聞いてる?」 「ん?ぁあ。とりあえず今まだ教室だからあとで掛け直すよ」 「急ぎだかんね!」 そうかそうか、急ぎか、何だかわからんが人目の無いところにでも行かないとな。 さすがに教室で妹に愛の告白はできないだろ。 『もう俺たち普通の兄妹にはもどれないな……』(←ハンサムボイス)ってか!ウヒョー ……おおぅ寒気がしたぜ。 いやいや、みなまで言うな。 あくまで兄としてどの位妹が好きかを告白しなさい。ってところだろ? 完璧に了解だぜ、ハァハァ。 桐乃はどこらへんまでOKしてくれっかな。 ベロチューくらいなら楽勝だろ、楽勝に決まってる。楽勝であるべきだ。 「ニヤニヤしやがって、なんかあったのか?」 おお、赤城よお前はまだ友達でいてくれたんだったな、そういえば。 しかしなんだその不服そうならツラは。不幸が感染するからあっちいけ、シッシッ 「あー妹から呼び出しみたいなもんだ」 「クソ忌々しい」 こ、こいつ、死んだ魚の目をしててがる、なんか急に現実に引き戻された気がするわ。 「なんだイキナリ……お前瀬菜となんかあったのか?」 このパーフェクトシスコンが突然の悪態をつくなんざ他に理由があろうはずが無い。 「軽くキスしたら泣かれた」 なんだこいつ怖っ。 「お疲れ様、また明日な」 出来るだけ友情にヒビが入らないよう最大限に憂慮した言葉を投げなけて席を立つが赤城も食い下がる。 どーでもいいが抱きつくな、お前のホモ疑惑は完全には払拭できてねーんだよ 「まってくれよ高坂~そもそもお前がいけねーんだろ」 意味がわからん。 「意味がわからん」 「お前が妹の桐乃ちゃんとキスしたってニヤニヤしながら自慢すっからさー」 「はぁぁ? さらっととんでもねーことくちばしってんじゃねー!」 「どこのフィクションだ! 二次創作なのか? アンソロジーなのか?どこで売ってんだそりゃ」 「そんなもんあったら買い占めた挙句に作者にカミソリ付きの日本刀送りつけてやる!」 勢い任せで言ったが、刃物に刃物を添えて送るってあれか通販のオマケかよ。斬新だな!俺 ほーら教室の空気が悪い。 麻奈実は他の女子に連れていかれたし仲間は1人もいないぞ。 「はぁ……作者もさぞかし混乱するだろうな」 「じゃなくて自分で言ってたろ、妹起こしにいったらちょっと触れちゃったってよ、ってデレッデレで」 あぁあの事か。キスなんて言うから焦ったじゃねーか。 でもなあ俺マジでそんな自慢したっけかな、したような気がするな、ぁあしたわ、したした。 しかしデレデレは脚色が過ぎる。見ろよ俺たち(主に俺)から距離を取るクラスメイトの面々を。 ありゃ多分元クラスメイトだぜ。同窓会とかでハブられたらどうしような、お互い。 「思い出した、ありゃお前が悪い」 「なんでだよ!」 「おめえの妹自慢がなげぇ上につまらねぇから話をぶち折ろうとして少し大げさに話しただけだ」 「ヒドイ!」 実際ヒドイのはお前だ。 こっち見て笑ったーだの、新しいパジャマが可愛いーだの、毎日毎日うるせーんだよ。 俺なんかデートもしたし、告白までされてんだぜ 両方頭に嘘がついてるけどさ。 可愛いのはお前んとこの妹だけじゃねーつーの!こいつに世の中の厳しさと序列つーもんを教えてやる。 「フッ実は胸も揉んだことがある」 二回な。どうだ悔しかろう。 「あぁそれなら」 赤城の顔がパッと明るくなりやがった。てめえ! 「まて、言うな。言ったら俺殺しちゃうかもしれない」 ふざけんなよなにその表情。 ぜってー聞いてやんねーからな! この鬼畜!妹のオッパイさわって喜ぶ兄なんてお前だけだ! あーくそ! あれか、揉み続けた結果がアレなのか! 世の中って厳しいなぁおい。 つーかそんな状態でもキスってヤバイんだな、ちょっと兄妹間の常識が大幅にズレてたようだぜ。 ベロチューは当分あきらめよう。 「話しを戻そう、怒らせた後フォローしたのか?」 「高坂兄妹もチュッチュしてるみたいだしさ、コミュニケーションのひとつだとおもって……ごめんな」 「って言っといた」 おぉぉぉぉい! そんな年がら年中イチャイチャしてるみたいに言うな! 「巻き込むなよ! つーかその話しかただと、俺と桐乃がマジキスしまくってるみてーじゃねーか!」 いや、くっついたのは、その、あれだけれども し、しまくってはないもんな。否定しとかないとな。 「まさかー、流石におでことかほっぺだってわかるさ、瀬名だってそう思うんじゃね?、言い方まずかったか?」 心が痛い! 目の前の変態にお前ありえんな、っていわれてるんだぜ、これ。 というか赤城よ、『ほっぺ』か『おでこ』にキスして泣かれたのか…… ちょっと凹むな、それ。 ヴーッ ヴーッ OHヤバイ 「わり、桐乃が呼んでるんで」 件名だけのメールでまだ? だそうだ。 こんな短いメールでもにやけてしまう。二へェェ 「あ、あぁ」 おい引くなよ、お前だって瀬名からメールあったらおんなじリアクションすんじゃねーか 今の会話と瀬名からもれた話に尾ひれだか胸ビレだかハイパー兵器だかがついて俺の悪名は伝説にまでなるのだが ・・・・・・それはまた別の話にしておこう。桐乃、お前この高校だけには入らないほうが身のためだぞ。 校舎裏に人影がいないことを確認するや桐乃に電話をかけた。例の如くワンコールで出る。 なんつーの?愛? 「(遅い! 死刑!)」 愛が痛いな、どっかの団長かよ そしてなぜ小声? 「悪りぃ悪りぃ、ひと気が無いところがなかなかなくて」 「(じゃ、ちゃっちゃとお願い)」 えー? なんつーかさ、もうちょっとお願いの仕方ってもんがさ~ あ、そうねこいつツンデレ要素があるんだな、そう思うことにしよう。 咳払いをひとつ。ちょっと緊張すんな、コレ 「んっんっ えーと……好きだ」 んー風が気持ち良いぜ、校舎裏ってマジて静かだよな、じゃなくて。 「おい、無言かよ」 「(あ、あのさ、なんかせめてもう少し気持ち込めてくんない? 言葉は選ばなくていいからさ)」 気持ち、気持ちねえ。 「ぶっちゃけろって?」 「(え? んーあんた、演技なんて出来ないだろうからそれでいいよ)」 「毎日おっぱい揉ませてくれ!」 「い、い、今のは悪かった、赤城が変態自慢するもんだから羨ましく……」 「……えーと、ぁー、」 「俺達さ、これからもっと仲良くしような!」 「(それで精一杯ですか?)」 他人行儀! 罵倒より堪えるな… 「精一杯もなにも、告白なんてしたことねーし、大体電話だと勢いとかノリも違うだろ?」 「(勢いやノリで女性に告白してもよいのでしょうか?)」 はい、一言一句その通りでございます。 つーか怖いからやめてよその口調。 「(とにかく心を込めて、真面目にお願い。セリフの内容はこの際関係ないから、出来れば力強く)」 「ん、ああ」 力強く、真剣にっておい・・・ 照れ臭さでおかしくなりそうだ。俺ばかり恥ずかしいってアンフェアじゃねーか? 「もし感動するような告白したら、一週間、兄貴じゃなくて、お兄ちゃんって呼べよ」 「はぁぁぁ? 」 こんだけ恥ずかしい思いすんだからな、ちょっとくらいいだろ。 さてさて、なんでこんなことせにゃならんのだ、という当然の疑問も当然ある。 妹に告白なんざ正気の沙汰じゃない。それもわかる。 世間の兄貴なんてもんは俺にはわからないが、可愛い妹から『告白してくれ』 なんて言われたら少しくらいネジが外れるんじゃないか? すくなくとも赤城なら何年も何年も惚気てくるだろぜ。 しかも相手は『あの』桐乃だ、桐乃がマジな告白してくれなんて言ったんだぞ、おい。 携帯に貼ってあるプリクラを眺める、よくよく見れば二人ともぎこちない笑顔だ。 兄妹でもなく恋人でもない、こんな顔させ続けて良いわけがない。 そうだ、桐乃には笑顔でいてもらわないと困る ゴクリと喉が鳴る。同時に猛烈な恐怖心。 言ったら何か壊れるだろうか、もう兄妹ではいられないのだろうか。 違う!違う!そうじゃなくて、兄妹であるために言わなきゃいけないこともあるだろうが! 「俺はさ、本当に駄目な兄貴だと思う。」 完全にノープランのまま出来るだけ本音を、恥ずかしい気持ちはすっとばして、本音を。 そう自分に言い聞かせていた。 「(は?ちょっと何いって……)」 「ろくに会話もしない妹が何時の間にか綺麗になっててよ、ある日突然俺を頼ってきやがった」 「(待って、あんたなに…)」 「でもよ! 駄目な兄貴だからこそお前には幸せになって欲しいんだよ! 」 「最初はその幸せってやつは俺の知らない世界の出来事だと思っていたさ! 」 綺麗ごとだな『嫉妬』ばかりしてたくせに。でも嘘じゃねえ。 「正直認めたく無かったぜ」 「平凡で何の取り柄も無い俺の、たった独りの妹がよ」 「モデルやって、陸上やって、勉強も頑張って、小説まで出しちまってよ」 「ふざけんなって話しだぜ、兄の威厳なんて微塵もありゃしねぇ 本当に凄いよ、お前は」 桐乃はどんな顔で聞いてるんだろうな。こんな『愚痴』みたいな言い訳みたいな俺の想いを。 「どっか『遠くへ行って』もお前なら勝手に幸せになるだろさ」 「俺なんか必要ない。それが腹立たしくて、悔しくてよ」 「だから」 「だから、人生相談を受けたとき、俺は多分、きっと嬉しかったんだ。」 「俺さ、諦めてたんだ。多分、ずっと。俺が心のどこかで一番欲しいってものをさ」 「どうせ手に入らないなら見たくもない、考えたくもない。そんな風にして、長い間逃げてきた」 「だがな桐乃!」 「今日限りでそんなのはやめだ!」 「俺たちの関係はそんなもんじゃ縛れねー!」 「結婚できない? 知った事かよ! 好きなやつと一緒にいて、何が悪い!」 「お前が告白してくれって言ってくれたから気が付いたんだ! 気がつけたんだ!」 あぁもう! いきなりす結婚とか口にしてんじゃねーよ! 大体お前はいったい何を告白してんだ。 愛の告白じゃなくてカミングアウト大会じゃねーか! イヤイヤ、違う、勢いだけだ、こんなのは。 さっき注意されたばっかなのによ、どうせ無意識に覚えちまったエロゲかなにかのセリフだろうぜ。 「だから桐乃! 俺はお前の傍にいる! 傍でずっとお前を…… ん、携帯ごしになんか話声が聞こえる おい、まさか聞いてないとか言わねえだろうな! 二度も三度も言うセリフじゃないんだからな! マジで恥ずかしいんだぞ! 「え、あ、こ、これは違うんです・・・・・・」 「あ、兄が多大なる勘違いをしちゃって、あ、違った、兄は役に入り込む人物なんです、アハハハ」 は? 勘違いって?どんな状況だよこれ。 慌てて携帯を強く耳に押し付け声を拾う。 正直かなり聞き取り難いのだか、俺の脳内補完結果では… ―男性1― 「なるほど、プッ…台詞はともかく…ククッ……ふぅ…」 「言われてみればこの位の声質の方が嫌味なく好き好き言わせられるかもせれませんね……ブフッ」 ―女性1― 「そ、そうですね、それではこの録音データを元に声優プロダクションの方と相談しながら方向性を決めましょう」 ―男性2― 「いっそこのまま彼に出演してもらいますかw 彼氏役三人とも! 」 「なんだかんだ言ってお兄さんもかなりいい声してるみたいですしw」 は?あ?え? 「おーい、桐乃、これはえーと」 ツーツーツー…… きりやがった じゃねーよぅぉぉおぃマジかよ! え? なに? 今の告白って、あれ?本当に待って、お願い、嘘って言ってくれ! 陰鬱たる気持ちで帰宅した俺は、玄関で桐乃の帰宅をまっていた。 本当に最低だ。最低なんて何度も見たと思ったが、これは本当の最低だ。 ――今日限りでそんなのはやめだ!―― うぁぁぁあぁやめてぇぇぇ。おもいださないでくれぇぇ 頭をがんがん床に叩きつける。 フラッフラするぜ、ハハッ。 桐乃もあんなこと急に言われてさぞかし気味が悪かろう。 なんだろうね、もうどうにでもなーれー ガチャ 「ひぃぃぃぃぃ!許してくれぇぇ!」 「びっくりしたぁ、何してんのあんた」 あれれ?! 怒ってない? あ! まさか満更でもなかったとか? いやいやまさかなあフヒヒ 「さっきのあれ、どういうつもり? ものすごく恥ずかしかったんですけど!」 怒ってたよ。 「あたし、ちゃんといったよね、スタッフに、聞かせるための声が欲しいって」 いえ、きいていません。はい。 「すまん、ちゃんと聞いてなかったみたいでさ、俺、お前が本当に告白して欲しいって言ったのかと……スマン!」 ガツンと床に叩きつけるような土下座だ。 もうこの際焼き土下座くらいしないと詫びにならないかもなぁ そもそも「兄として」の告白のつもりが、なんだか残念なことになっちまってよ。 本来なら兄妹関係も破壊されて口も利いてもらえないとこだよ。だいたい、 『あんた私に告白しなさい!』 なんてのは通常の会話の流れであるわけがないんだよな。 なに勘違いしちゃってんの? 俺って本音にバカ。 「ちょ! 土下座とかいいから、どっから聞いてなかったの?」 声が優しい。頭の残念な兄に同情でもしてくれたんだろうか。 「いや、告白して欲しい、のあとは舞い上がってたみたいでさ」 桐乃は土下座していた俺の頭をなでながら優しく毒を吐く。 「もうさ、シスコンとかじゃないね、なんか別の病気なんじゃん? 突発性暴走症候群とかそんなの」 妹に病気扱いされた! 絶対心の病じゃねーか! 反論できませんが……なんにせよちゃんと状況を把握しないと。 「なんとなく見当はついてんだけど、あらためて説明してくれるか?」 「とりあえずリビングいこ、ほら立って」 妹に促されてリビングまでよろよろと歩く。 俺がソファーに座って、桐乃は膝立ちの格好。いつぞや傷の手当をしてくれた時もこんなだったな。 「あ、あのね、妹恋の声優さんについて意見求められたのね」 「あたしさ、女性声優さんはそこそこ詳しいんだけど男性声優さんあんまり詳しくなくて」 だろうなあ、エロゲとかは男は喋らない事も多いし、お前の好きなアニメ、女の子ばっかだもんな。 「でさ、お任せしてたんだけどね、なんか凄い綺麗すぎ?の声優さんがそろっちゃってさ」 「耽美というか中性的というかオペラっぽいというか」 それのなにが不満なんだか 「あたしのなかでは、あの彼氏三人てさ……」 「頼りになったり酷いことしてきたり、居なくなったり、浮気したり、エッチだっりするけどさ」 「本質的には可愛いの」 はぁ?あの三人があ?最初に死んだやつ以外けっこう酷いイメージだけど? まあ三人目は女子が考えるスーパー男子ってとこで女受けはいいんだろーよ! ああ面白くない。JCの可愛いなんざ全然わかんねーな俺には! むしろ可愛いなら中性的な声のがあってんじゃねーのか? ホモくせぇ声でもあてがってもらえってんだ。 ……創作キャラにヤキモチとか終わってんな。カッコ悪ッ 「で、ね、あんたの声ってさ、かっこ良いけど、ちょっと可愛いかな? …って」 「うへっマジ?」 なにこの可愛い妹、ペロペロしていい? かっこ良いとか可愛いとか産まれて初めて言われた気がする! 特に、可愛いとか女の子にいわれると嬉しいのな。 「ちょ、キモいからそんな喜ぶなって」 「よ、喜んだわけじゃねーよ」 三つ年下の妹に声が可愛いと言われて、思わずツンデレリアクションをとってしまったぜ 「で、説明が難しかったから前に録音した音声データを聞かせたら、興味もってもらえて」 いつ録音した何の音声だそりゃ、聞かないけどさ。 「お前まさか俺にアフレコやれとか言ってる?」 「ぁあ違う違う、あくまで雰囲気が似てる人とかいませんか?聞いただけ」 「ただね、監督がイメージわかないなーって言ってきてさ」 なるほど、その感じのままいくと声質だけじゃなく演出とかにも影響するな、とこいつは感じたんだな。 「本当はセリフをそのまま読んでほしかったんだけどね、急だったし、きっと読んでないよね?」 ……まあ、こっそり読んだんだけどな。 あれさ、あらすじだとヒロインが、わけわかんねー女なんだけど 読んでみると訳が分からないのは男の方なんだよな。 特に二番目とか、奥さんにベッタリのくせしてまだガキのヒロインに手を出すしよ。 なんつーか奥さんにもリノにも誠意がたりねーよな。何発かぶん殴ってやりたいね。 三番目はさらに混乱する まるで主人公にとって変わったように不幸になるのもそうだし。 行動がリノに『よく似ている』。リノが『桐乃の投影なんだとすればこいつは自分がどんたけ好きなんだよ』。 まだ読んだこと無いやつがいて説明を求められたら俺はこう言うね。 男運の無いヒロインがやたら酷い目にあうけど『愛の力』があるから平気物語 怒られるだろうな。これ。 「だからね」 「どうせならヒロインの事本当に好きだったらって仮定で、何て言うか聞きたくて」 「そ、その! もしいいセリフだったら本編にもアレンジして使おうとかさ」 おおマジか、俺結構信頼されてたんだな。アニメ化決定してからねじ込むことじゃない気もすっけど。 「なのにオッパイとかいきなり言い始めるし、あ、あたしに告白はじめるしさ」 「スピーカーモードで会議室に響いたんだよ、アレが」 ……なんだろ、軽く旅行したくなったわ、あれ? 前が見えない。今日ってこんなに寒かったっけ? 「ちょっと確認したいんだが、その……どっからどこまで会議室にながれたの。アレ。」 「ぁ、ぅん、今日限りで、っとこから。」 「元々録音してから良いとこだけ聞かせようとしたんだけどさ」 「あ、あんたが、あんまり変なこと言うから、間違ってスピーカーボタンタッチしちゃうし」 「パ、パニくってボリュームボタン逆に押しちゃったし」 「お前が原因じゃね?それ!」 「隣で休憩してたスタッフも運わるく帰ってくるし」 「聞けよ!」 「まあ、正直恥ずかしかったけど、おかげでピッタリの声優さん候補にあげてもらったし」 俺は羞恥でおかしくなりそうだけどな! あそこからだけだとかなりガチじゃねーか。もうやだこの妹。 「一応感謝しとくね、……その」 桐乃はなにかを言いかけて、俺の様子がおかしいことに気がついたようだ。 「な、なに落ち込んでんの、こっちはスタッフのみんなの前で赤っ恥も良いとこだったんだからね」 「ぁあもう!ねぇ泣かないでよ! ちゃんと説明しなかったあたしも悪かったって」 「なにもスピーカーモードにしなくたって……」 「わ、わざとじゃないの!」 「その・・・・・・それに、ほら『裏設定』的にあんたが役になり切ったって言い訳も一応しといたから!」 「……無理あるけど」 なんだその裏設定ってやつは、あの三人が揃いも揃って変態とか言うんじやねーだろうな。もうやだ腐りたい。 「あーもう落ち込みたいのはこっちもなの!」 「脚本家の人から、『やっぱりそうなんですね? そうなんでしょ』みたいな顔されるしさ!」 なにがそうなのか見当もつかないが・・・・・・ この状況で脚本家とやらが俺に対してまともなイメージなんて持つわけねーよな。 「もともとアニメ化が決まった時は出来るだけ口を出さないようにしようって思ってたのね」 へぇそいつは意外だな。 「その方が私も視聴者として楽しめるしさ、なんかアニメ化出来ないエピソードもあるらしいし・・・・・・」 「逆にさ、しおりちゃんにスポットがあたるシーンとかも追加するらしいし!」 その後も桐乃は原作者のスタンスやら誤解されやすいヒロインの心情やらを『特別』に教えてくれた。 遠回しに慰めてくれてるのは俺にだってわかる。 「……ねぇいつまで落ち込んでるつもり? 」 無理やり明るく取り繕っていた声に影が差す。 ま、まて、泣くことはないだろ、恥かいたのは俺なんだし…… 「ごめんね。あんなの人に聞かれたくないよね……」 ……ちょっとまて 違う!違うぞ。俺はお前に対しての気持ち自体を恥じ入ってるわけじゃない! 「そんなことは無い。俺が恥ずかしいっていったのは」 「あーやめやめ、このはなしはもう無し」 駄目だ駄目だ駄目だ!泣くな! 「駄目だ!」 お前が泣くのなんて嫌に決まってる。 「……なに急に怒ってんの、ワケわかん無い」 余計に泣きそうじゃねーか、俺のバカ! 「桐乃。俺はお前が好きなことを誰かに聞かれたから恥ずかしいって思ってるわけじゃねーよ」 「そりゃ行きすぎたシスコンなんて自慢できることじゃねーが、だからってこの気持ちを否定されてたまるか!」 「また暴走?もうさ、やめてよ……」 そうだな、声を荒げて解決する問題じゃねぇ。 「ちげぇよ……俺はさ、一人で舞い上がってたのが恥ずかしかったんだ」 「妹が立派に仕事をしている最中、おれはお前のことしか考えてなかった」 「んで、お前にも恥かかせちまった。それが恥ずかしくて、悔しいだけだ」 だからもう!このセリフも恥ずかしいつーの! なんだ今日の羞恥カーニバルは。 「あとエロいことね」 桐乃は潤んだ目を拭いながらも笑声でそう言う。 「うっせ。俺の年頃つーか、男は女の子好きになったら、そういうこと考えちまう生き物なの!」 「 つーかごめんなさい!」 というか、今日何回好き好きいってんだ?、もうさ、好きって言いたいだけなんじゃねーの? 「年頃の兄貴は妹にそういうこと考えていいの? フフッ」 「うっせ、知るか!」 まるでシーソーゲームだ。おまえの機嫌がよくなるとおれの心が折れて行く。 うう、泣きたい。あれだ。 今気がついたぜ。 俺さ、妹とフラグがたったって思い込んでよ オッパイ揉ませてくれとか調子ぶっこいてた俺自身に落ち込んでんだ、比重的に。 そりゃ今日の行動全部が恥ずかしいけどさ。 好きな女の子に気持ちがつたわらない状態で、自分の気持ちが暴露されたら、そりゃ落ち込むってもんだ。 たとえ話だぞ? 一応そういうことにしてくれ。もう知らん! 「な、なにまた落ち込んでんの!」 「自分の気持ちと気持ち悪さを再認識したら泣きたくなった」 「そんなの昔からじゃん」 …… 「あ、あ、ち、違う、兄貴が私のこと好きなのが昔からなんておもってないよ」 「そ、そうそう、気持ち悪いのが、昔からってことで……」 「うわぁぁぁぁん」 子供泣きだった。齢18才。一部大人の権利も認められる年になって、園児のごとく泣いた。 「ちょっ」 流石の妹様もどん引きである。 俺はズルいな。一度慰めてもらったからって、また期待してる。 また優しく抱きしめて欲しいに違いない。 桐乃はなにかを言いかけては止めてを繰り返した挙句、この有様の俺にこう切り出した。 「もう!わかった、なんかお願い聞いてあげるからさ泣き止んでよ!」 「なんでも?」 泣き止んだ。なんだ俺。なんだ俺! 「え、え? な、なんでも、はちょっと。18禁にならないヤツなら……」 い、いきなりそんなこと要求する兄だと思われてるのか、俺は。 というかテンションあげるなよ俺、反省したばっかなのによ、自重自重。 「じゃあさ、さっきのアレ、告白前のやつ」 控えめなつもりで、そう言った。 「はぁぁぁぁ?さっさっきのって、さっきの?あんたマジでいってんの?」 顔赤すぎだろ。 「そんな嫌がんなくてもいいじゃねーかよ……兄妹なんだし」 ちょっとわざとらしいくらい落ち込んでみせた。 「だって……」 制服の裾を頼りなさげにいじりながらえらく複雑な表情を浮かべてる。 まぁ昨日までの俺たちじゃ、ありえねーもんな。 「じゃあさ、1日だけならどうだ?」 「必死すぎ……じゃあ、お父さんとお母さんがいない日なら……」 またちょっと泣きそうじゃねーか、顔真っ赤だし、そんな恥ずかしいかね。 まあ想像するだけで俺も恥ずかしいんだけどさ。 「今日居ねーじゃん」 おおう どんだけせっかちですか俺。ちょっと温もりに飢えてんだな俺は。多分。 「ぇぇぇぇぇえ? 今日?今?」 もう完全にパニック状態だ、そこまで嫌がられると傷つくんですけど。 「ほれ、お兄ちゃんって呼んでみ」 ほらほらなにキョトンとしてんだよ 「あ、『そっち』か、ぁー、『そっち』か、よかった、なんだ『そっち』か」 全身から力が抜けたとばかりにヘナヘナと正座の姿勢になる桐乃。 え?このリアクションって 「おまえまさか……」 『あっち』かよ! え? こいつさっき親がいなかったらOKみたいなこと言わなかった? うそぉぉぉー一生に一度のチャンスだったんじやねーの? こいつ何処まで想像したんだ、服の上からか? ま、まさか直接…… 「『ち、違う』!なに想像してんの? 」 なにが『違う』かわかりませんなぁ!絶対そうじゃん! 「桐乃、仕方ないからお前が想像してたほうのお願いでいいぞ。いいよね?」 「き、キショイ! キモイじゃなくてキショイ!」 手で『胸』隠しちゃった! 自白きました! 自分で想像してたこと指摘されて真っ赤になっちゃってまあ 「そうかぁ、親がいなかったらいいんだぁ、桐乃はエッチな妹だなぁフヒヒ」 「ぅぁぁぁ! 最悪! 最悪!」 まあ桐乃がこんな感じでいてくれるうちはこんな兄でも兄妹でいられるだろう。 なんたって俺たちは『よく似てる』。 危なっかしい道だよな。こいつと一緒だと子供の頃にもどっちまうみたいだ。 お互いいつ転んで泣き出すかわかったもんじゃない。 桐乃は一瞬、人でも殺す勢いで睨みつけてきたあと、完璧な本当に完璧に可愛らしい笑顔で、こう言い放った。 「エッチなのはお兄ちゃんだよ?」 なんだ、この幻想。 「は?」 「だからー、お兄ちゃんはエッチだね、って、話」 な、なんだ、この罪悪感は。そ、それに言ってもいない、「テヘッ」が勝手に聞こえる。なんの魔術だ…… 「あれぇーどうしたの、お兄ちゃん、お兄ちゃんって呼んで欲しかったんでしょーお兄ちゃん」 お、お、お、お兄ちゃんお兄ちゃん連呼すんな! ヤバイマジで死ぬ。 積み重ねてきたエロゲーの妹達の思い出がはじめて桐乃にだぶる。だぶらせちゃだめぇ。 「お兄ちゃん。お顔が真っ赤だよぅ?」 どうでもいいが口調までかわんのな。くっそ、こんなので! 「お熱あるのかなぁ? お兄ちゃん」 だからぁお前のほうが絶対顔真っ赤だぞ。 「お熱はからせてねお兄ちゃん」 桐乃×お兄ちゃん呼び×ロリ口調=破壊力! 「ないないない! 破壊力なんてない!」 リヴァイアサン「呼んだ?」 呼んでねぇぇぇ! すっこんでろ! 「じっとしてないとキスしちゃうぞお兄ちゃん」 いやむしろしてくださ…… 嘘ですごめんなさい。 ぅぁぁぁ、やめて、顔近づけないでーー 桐乃はおでこをくっつけてくる。 あーこれ。エロゲでみたわ。 二回くらいみたわ!、そのエロゲ知ってるわー! 「大変! お熱があるみたいだよ、お兄ちゃん」 正直そのゲームしてたときにはイラッときたが、これは駄目だ、可愛いにもほどがある。 恥ずかしながらも桐乃が演技している。 そうと思うと余計にな。 ……たしかこの後お熱をさますために、あんなことやこんなことしちゃうんだよな…… 「はい、サービスタイム終了」 え。『もう?』 じ、じゃなくて助かったぜ。助かった……ぜ。 「つか、あんたマジでさっきみたいな妹がいいわけ?、完全にエロゲ妹じゃん」 お前の好みだろうが! 「お前が、買ってきたゲームのキャラだろうがぁ!」 まあ、たまにはいいけど、 あ、あのゲームもう一回やってみっかな。 返しちゃったっけ?今日借りに行くのは無しだよな。 ダウンロード版とかあったっけ? 「あーやだやだ、男ってたんじゆーん」 それを言うならお前が単純だ! 「お前がはまってたゲームのキャラだぞ、おい!」 「・・・・・・デレデレしちゃってさ!」 おいおい、マジかよ。 「自分が演じたキャラに自分でヤキモチやくな! 高度過ぎるぞ」 新ジャンルっすか? 「うっせ」 認めちゃうのかよ 「まあ、いつものお前のほうがいいよ」 「……うそばっか」 「本当だ」 「マジで? キモ」 「どっちにころんでもキモいんだな!」 「で、どうすんの? あれを今日一日つづけりやいいわけ?」 今日、あと6時間くらいあるな、 いやいや6時間もあんな攻めをうけたら京介おかしくなっちゃう! いやでも、もう二度と頼めないなら…… 「な、悩み過ぎ! わかったかわった、これからも気が向いたらお兄ちゃんって呼んであげるよ」 おい、こいつ天使だろ。 「マジで?! あ、いや、さっきみたいなわざとらしい奴じゃないほうが、お兄ちゃんうれしいなあ」 死んじゃうかもしれないんで。 「もー注文多いな」 「お互い様だろ。またヤキモチ焼かれても困るし」 「うっせ、うっせ! 笑うな!ムカつく!」 へぇ、俺って今わらってんだな。 泣いても怒るし、笑っても怒る妹にこれからも怒られれていくんだろうね。おれってやつは。 「あ、そうそう」 「ん?! なに?!」 怒んなよ 「『これ』今回の詫びとアニメ化のお祝い」 さて気になってる奴がいるかいないかわからんが、赤城兄妹の名誉にかかわるので、ちょっとした後日談をせねばなるまい 「子供の頃だとぉ?」 「そうそう、なんかさ瀬菜ちゃんがみてるアニメで胸揉むと大きくなるかも」 「とかいう定番の都市伝説話やっててさ」 マジか。やっぱ悪影響あんじゃねーの?不安になってきたぜ 「で、風呂にいれてる最中に、あいつがさ、揉んで! ってさ、可愛くね? ね?」 ・・・・・・墓場まで持ってってやれよその話は。 「なんつーか赤城よ、可愛いことは可愛いが、痛々しいぞ、その話」 「まじで? 子供ながらに小さい胸気にしてるって、可愛いじゃねーか」 あ、あぁすまんな、なんか、すまん。俺とお前はピュア度が全く違うようだ。 「そうだな、可愛い可愛い」 どちらにせよ教室で話す内容じゃないぜ。 「ふ、兄妹仲で負けたからと言ってその対応は大人げないぞ高坂」 ……悪い癖だよな。まぁ可愛い妹がいたら自慢したくなるのはみんな同じさ。 ちょっとベクトルと程度がおかしくても許してやってくれ。『俺達』『不治の病』にかかってんだ。 「はぁ? 俺なんかなぁつい最近だぞ! 親が居ない日なら胸揉んでもいいよ。とかいわれたんだぞ! どうだ!」 ガタタタタッ ぁあやっちまった 麻奈実は卒倒するし赤城も元親友にクラスチェンジだ。 ……数日後 「高坂ー」 涙がでた。 「よ、よう、どうした」 「桐乃ちゃんにお礼いっておいてくれ」 「あ、ああ、なんでだ?」 「セナちゃんに色々話してくれたらしくてよ。誤解じゃないが。誤解が、とけた」 桐乃、あれか変態呼ばわりした件で瀬菜にフォローしたのか。 「おまえのシスコンはマジだからな、誤解もなにも無い。」 「お前にくらべたらマシ」 「そうそう、あの後なんとなくクラスの女子連中であの話題なってよ、高坂がまた話を盛った」 「・・・・・・って見解で一致したみたいだぜ」 胸もんだ揉まないの話でクラス会議とか想像の範囲外すぎるわ!いっそ殺してほしい! 「瀬菜ちゃんにも怒られたぜ、シスコン対決とかしないで! ってな」 まあ、よかったんじゃねーの? 俺のクラス内の立場なんざもう復帰の見込みねぇしな。 最低が、限りなく最低。に復帰したところでなあ。 麻奈実のやつも今日に限って一緒にかえれないのーときたもんだ。 家に帰る途中『偶然』桐乃に会った。珍しいこともあるもんだぜ。 「あ、今帰りなんだ、お兄ちゃん!」 ぐはぁ!やめてよ。学校の連中もここ通るんだから! ……いかん動揺するほうがおかしい。 「ぅ、ああ。そう言えば、それって校則違反なんじゃねーの?」 「ふふーん本当はだめだけどねー、指輪くらいみんなつけてるよ」 「へぇ」 ピアスが怒られないならそうかもな 「なにか一言」 毎日言ってるだろ? 「あ、うん、よく似合ってるぞ」 ニシシと憎たらしい笑を浮かべる。 桐乃はコホンと咳払いをした。 「でもさぁ、渡してくれるまで随分時間かかったね」 ……なんだその演技かかったセリフは。 まぁいいけど、実はかなり前に買いにいったんだぜ、使い道ないから貯金はわりとあったしな。 「ずっーと何処かに『隠してた』んでしょ?」 だってよ買ったはいいけどさ、なんか口実がないと渡せないだろ? ……っておい、まて! 「お、おいお前そりゃどういう……『なんで』買ってあったの『知ってん』だよ」 問い詰める俺の腕に絡みついてくる、ぁあもう、勘弁して下さいここ数日おかしいぞお前 そしていつものように力強く俺を引っ張っていく。 そんなに急がなくったって『エロゲもアニメも』逃げねえよ。 「そんなのさ」 「『愛の力』に決まってんじゃん。京介っ」 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1928.html
SS『バレンタインの真実?』 「高坂ぁぁぁっ!」 荒ぶるクマさんがあらわれた! って、どっかのロープレじゃないんだけど、誰が来たかは察してもらえたことと思う。 「な、なんだぁ?」「な、なに?」 「ふっふっふっ、ついに見つけたぜぇ!ここで会ったが百年目!」 完全に悪役の台詞である。 コマンドは?、、、じゃなくて。 「おまえ、こないだウチに来て、桐乃と遊んでたじゃねーか?」 「いやいや、あれはきりりん氏と遊んでたワケじゃなくて!高坂に!会いに行ったの!そしたらきりりん氏に毒入りチョコを食べさせられたんだってば!」 「ど、毒入りって酷くない!?」 となりで桐乃が非難の声を上げる。 「いーや、最初のやつは明らかにあたしの命を狙ってきてたね、間違いなく!あわよくばライバルを亡き者にせんという意図が込められていた味だった!」 「う、、、確かに最初のやつはゲロマズだったけどさ。でも最後のほうは美味しいって言って食べてたじゃん?」 「そうそう!最後のほうのやつは、ちょー美味かった!だがしかし!そんなことで、あのゲロマズチョコの恨みが、、、って、そんなことはどーでもよくて!いや、よくないけど!」 、、、どっちだよ。 「と、とにかくっ!さあっ!このチョコを受け取るのだぁっ!」 「おまえ、箱の中で全裸待機するんじゃなかったっけ?」 「あ、あれは高坂がボツにしたんじゃん!」 そりゃまぁ、そうだけどさ。 「まぁ、確かに?前回のは、ちとやり過ぎて、高坂にドン引きされていたので!ので!」 「今回は基本に立ち返り!」 「女の子らしく、直球勝負の正攻法にしてみましたぁ!」 「ってなわけで!」 「さあ!高坂!観念して、大人しく、このチョコを受け取るのだぁっ!」 それのどこに女の子らしさがあるんだよ、、、。 でもまぁ、ちゃんと答えてやらねーとな。 「ごめんな、櫻井。気持ちは嬉しいんだけど、そのチョコは受け取れねーわ。」 「な!、、、なんでだよ!」 「いや、本命の人から本命のチョコをもらったあとで、他のやつのチョコレートなんて受け取れねーだろ?」 「なっ!ちょ、ちょっとあんた!何言っちゃってんの!?」 「事実だろ?」 「う~~~。」 ぷいっ。 「、、、てなワケだ。悪りぃな、櫻井。」 「ま、まさか、チョコレートを渡しに来て、受け取ってもらえないどころか、逆にノロケ返しを食らった、、、だと、、、!?こ、このバカップル兄妹め!!!ちくしょ~~~っ!覚えてろよ~~~っ!」 櫻井はそう言い捨てて、駆け出し、、、不意に、ぴた、と足を止める。 「どうしたんだ?」 「あ、いや、ちょーっと、きりりん氏に聞きたいんだけど、、、まさか、前にあたしが話したプラン、実行とかしてないよね?」 「え?あ、あ、あ、あったりまえじゃん!するかってーの!」 「なんでいま、そんなこと聞くんだ?」 「いや、前に『あたしがやる羽目になる』な~んて言ってたからさ。もしそれで成功してたんなら、あたしは間抜けにも敵に塩を送ってしまったことになるじゃんか?」 「ばーか、んなワケねーだろ。ワザワザそんなことしなくたって、これまで食べた中で一番最高のチョコだったよ。なぁ、桐乃?」 「は、恥ずかしいこと、さらっと言うな!このバカ!」 「ぬぐあぁぁぁっ!余計なこと聞くんじゃなかったよ、ちくしょうっ!!!お、覚えてろよ~~~っ!」 さっきと同じ捨て台詞を残して、走り去っていくクマさん、もとい、櫻井なのだった。 「、、、ところでさ、桐乃?」 「な、なに?」 「さっき、櫻井の質問に少しどもって答えてなかった?」 「な!んなわけないでしょ!き、気のせいだってば!」 「だ、だよな。」 -俺は- 二度とそれを聞けなかった・・・。 シュレディンガーのぱんつ、、、もとい、猫と同じく、永遠にそれを証明する術は無いのだ。 そして聞きたいと思っても聞き出せないので--- そのうち俺は考えるのをやめた Fin --- そこから時を遡ること、少し前 --- 、、、、、。 どうしよう、、、 やっぱ、やったほうがいいのかな、、、? でもあいつ、ドン引きしてたし、、、 う~~~、、、 、、、、、。 、、、ちょ、ちょっとだけ、、、 、、、ちょっとだけ、やってみよっかな、、、 ・・・・・ 、、、やっぱ、リボンだけじゃ、上手く隠せないじゃん、、、 「おーい、桐乃。来たぞー」 びっくぅ! 「桐乃~、制服返してくれー」 や、やば、、、は、早く服、着なきゃ、、、! 「今日ちょっと急いでるんだわー」 ちょ、ちょっと待てっての! 「桐乃?いるんだろ?」 がちゃ。 え? きぃっ。 「----!!」 「、、、なっ」 「きゃあああああああ~~~~!!」
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1450.html
970 K.K 2012/04/02(月) 00 18 08.29 ID RDESwRlj0 桐乃はホントにむかつく 理不尽なことばっか言ってきやがって のんびり生きたい俺にはいい迷惑だ はじめての人生相談のときなんて 俺にビンタしてきたんだぜ 礼儀をわきまえろっての 罵られながらも妹のために よくはたらく俺を誰かほめてくれ めんどくさいことに2期も同じ展開なんだろ だったらやめてほしいわ ------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1253.html
269 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/11/09(水) 09 29 07.81 ID KOjaizQh0 [1/9] 桐乃の首筋にキスマークが付いててクラスメイトが発見し一時校内がパニックに 同じく京介の首筋にも付いてて1限目と2限目の間の休み時間話題に 274 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/11/09(水) 10 14 31.81 ID DPsf6uY0O クラスメイトA「高坂の首筋にキスマーク? 相手はまさか、いつも話してた兄貴だとか?」 クラスメイトB「なんだやっとか」 クラスメイトC「え? もうとっくにそういう関係になってたんじゃなかったの?」 あやせ「……ぐぬぬ」 275 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/11/09(水) 10 15 58.28 ID Ei4hj4Ol0 [1/5] 271 加奈子「桐乃~、首筋赤くなってるけどなんだよそれ」 桐乃「えっ、うそ?」 加奈子「それって、キスマークじゃね?」 桐乃「そっ、そんなことない!」 加奈子「なーに、慌ててんだよ。あやし・・・・・ゴフッ!」 あやせ「加奈子・・・桐乃がそんなことするわけないでしょ」 加奈子「イテーな、あやせ!なにすんだよ!どう見てもあれって・・・」 あやせ「加奈子っ!」 そう言ってあやせは加奈子の襟首を掴むと引きずっていく。 桐乃「あやせ、どこいくの?」 あやせ「桐乃、わたし今日早退するから先生にお願い」 桐乃「えっ?」 あやせは、加奈子とともにどこかに消えた。 次の授業中、携帯にメールが来る。 誰よ、授業中に・・・・・ 京介からのメールであった。 『加奈子と一緒、帰れないかも』 283 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/11/09(水) 13 03 40.39 ID GilolHVO0 275 あやせ「後はこの土をかぶせれば終わりですからね」ザッザ 桐乃「兄貴!」 あやせ「桐乃!? どうしてここが!?」 桐乃「あいつが今日はいてるパンツは、あたしがパンツの日にあげた、 碧と青のチェックのヤツ…… お気に入りみたいで三日置きに穿いてるんだもん。 40キロ先からでも嗅ぎ分けられるよ」 あやせ「風下に連れて行くべきだった……」 桐乃「ほら、そんなところに埋まってないで、早く帰って一緒に遊ぼ?」ホリホリ 京介「ありがとうな、桐乃」 桐乃「まったく、あやせに誘われたからってホイホイついて行っちゃ駄目でしょ」 京介「ついていくというより、攫われたんだが……」 桐乃「はいはい。 早く帰らないとお父さんに怒られるよ。 じゃあね、あやせ。また明日~」 あやせ「う、うん」 加奈子「あれ? 加奈子は助けてくんねーの?」 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1335.html
468 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/12/24(土) 13 00 59.25 ID kSkxN7qw0 SS全ての想いが交わる日 「わあ……雪降ってるじゃん」 空を見上げるあたしの目に映るのは、真冬を告げる来訪者達。街のイルミネーションと交わり ながら色を変え、あたしと京介へと舞い降りてくる。 「本当だな。今年初めての雪ってやつか」 隣に立った京介が、空を見上げながらつぶやくのが聞こえる。 暫しの間、空へと釘付けになるあたし達。何処かの家でテレビでも見ているのか、微かに流行 のクリスマスソングが聞こえて来る。 ちらりと横目で京介を見ると、既に雪が肩に積もっていた。 京介に向き直り肩に積もった雪をはらってやると、あたしを優しく見つめる視線に気づく。 「中学生活で最後のクリスマスかあ……なんかさ、今年もあっという間に過ぎていった感じだ よね。あたし的に言えばイベント多すぎで消化しきれないエロゲーって感じ?」 「そこをエロゲーで表現かよ。だけどまあ、桐乃の言う通りだな。二年前までの俺と桐乃の 関係からは考えられねえ。それにあの頃の俺は……」 「あたしと一緒に過ごす所か、あたしと仲良くなるなんて絶対思ってもなかったっしょ?」 意地悪ぽく言い返すあたしに、顔を背ける京介。 「な……! 大体お前も俺に隙なんて見せてくれなかったじゃねえか。たまに気が向いて話を しようとしても無視しやがるし。つかあの時――お前とぶつかってなけりゃ……エロゲーの事 がなけりゃ今でもきっと……」 声色から拗ねた様な雰囲気が伝わってくる。 「なんだか京介らしくないじゃん」 回り込みつつ顔を覗こうとするあたしに、体ごと背中を向けてしまう京介。お陰で表情が全く 見えなくなってしまう。 そう言えば、ずっと前のあたしはいつもこんな感じだったっけ……。 京介に見て欲しい、気づいてほしいと思う反面、あたしは無意識に京介との間に壁を作って いた。理想と現実の違いを受け入れられないあたし。それがあの時のあたしだった。 暫く京介の背中を見つめていると、かつてのあたしの姿が浮かびあがって来る。。 ゆっくりとこちらへ振り向くかつてのあたし。その顔は今のあたしに何かを訴えかけている。 うん――分かってるってば。あの時までのあたしは、ずっと助けを求めていたんだよね。 理解して欲しい気持ちと受け入れたくない気持ち。相反する感情を持っていたかつてのあたし。 どうしていいか分からなかったけど、それでもあたしにはあの頃から変わらない想いがあった。 京介と離れたくない――それはうそ偽り無いあたしの本心。 足りなかったのは、それを認める勇気だったのだ。 あたしはかつてのあたし自身に微笑みかける。するとかつてのあたしは、安心した様な表情を 見せながら京介の背中に溶けこむ様に消えていった。 あたしは一歩、歩みを進める。少しだけ近くなる京介との距離。 「でもさ、結果的にあたしはあんた――京介と再び向き合えたんだよね。それってさ」 言いながら京介の背中を軽く小突くあたし。 突然の衝撃に、少し体を震わせる京介。それでもこちらを見ようとはしない。 あたしは言葉を続ける。 「ありがちかもしんないけど――やっぱり、運命みたいなものなんじゃない?」 「お前……そんな単純なもんでいいのかよ。てか俺が動かなきゃ仲直りの糸口すら無かった かもしれねえだろ」 「……ったく」と呟きながら嘆息する京介。 「それはそれ。あんたがあたしの為に動くのは当然っしょ。シスコンだし、超妹大好きだし、 世間から見ればもうヤバーイって位あたしの事好きなの分かるしね」 「……まあ今更、シスコンなのも桐乃が好きだってのも隠す気は無いけどな」 「ちょ…………真顔で言うなっての」 「真顔じゃねえよ! て言うか俺の顔見えてねえだろ」 「雰囲気で分かるっつーの。このシスコン馬鹿兄貴」 「うっせ。お前もブラコンじゃねえか」 「ち、違…………わないけど、それはあんたのせいだから」 つかの間の沈黙が場を支配する。 だめじゃん。これじゃいつもと変わんないっての……。 視線を彷徨わせるあたし。何気に目を留めた先では、赤と白の光がアーチを描いている。 珍しくお父さんがクリスマスのイルミネーションを飾ろう、なんて言い出したんだよね。 そう。今日はクリスマスイブなんだから……絶対に言わなきゃなんないんだってば。 「なあ、桐乃」 「な、何よ」 唐突に名前を呼ばれたせいで、しどろもどろな返事を返してしまう。 「俺は桐乃が好きだ」 「あ、あんたはシスコンじゃん。そんなの改めて言われなくても分かってるし」 気持ちと反対の言葉が自然と口をついて出てしまう。そんな自分を恨めしく思うあたし。 京介はそんなあたしの返答を読んでいた様に思えた。「ふぅ……」と軽く息を吐き、肩を 竦めるのが見える。それでもいつもと違う、そう感じられたのは京介の強い口調のせいだろう。 「違げえよ。俺は……一人の女としての桐乃が好きなんだ」 え……な……それって。 言葉の意味を理解するまで、数瞬を要してしまうあたし。 京介から聞かされた言葉は、あたしが求めていた言葉だった。 「ずっと考えていたんだ。なぜ、俺は桐乃を誰よりも大切にしたいのかって事をな」 「うん……」 「最初の頃は、単なる家族――兄妹としての使命感みてえなもんかと思ってた。だってそう だろ? 俺は兄貴で、桐乃は妹。だから、体を張って守ってやるのも家族としての義務で、 考える必要もない至極当然の行動になるはずだと」 そこで言葉を区切り、あたしへと向き直る京介。 「だけど何時からか、何か違う気持ちがあるって事を感じていたんだよな。他の女の子―― 黒猫にも、あやせや麻奈実にも感じていない感情を、桐乃にだけ感じていたんだ」 あたしは黙ったまま、京介の言葉を待つ。 「その、上手く言えねえけど……ずっと桐乃に触れていたいって言うのか、触れてると安心 するって言うのか」 「ああああああんた! このエロっ! 変態! 痴漢!」 「待て!? なんでそこで罵倒されるんだよ!」 「き、京介が変な事いうからじゃん……」 勘違いで押し倒された時の事を思い出してしまうあたし。 そう言えば、あの時初めてそ、その……胸触られたんだっけ。あれ超恥ずかしかったって。 あやせ達にはからかわれるし、ほんと最悪だったっつーの……。 軽く睨みつけるあたしに、怯む様子を見せる京介。 「いいよ……続けて」 「いいのかよ。てか怒ってんじゃねえか」 「これがあたしだから仕方ないじゃん。いいから続ける!」 「へいへい。ま、その方がいつも通りで話しやすいってのもあるか」 表情を和らげながら話す京介に、あたしはふと気づく。 予想外の展開だけど、緊張感まで吹き飛んじゃったっぽい。こう言うのってなんだろ…… 怪我の功名ってやつ、かな? 「とにかく、桐乃といると安心するんだよ」 「あたしは……麻奈実さんみたいにボーっとアホ顔してないし、あやせみたいにお嬢様ぽく もないけど、一体何がいいワケ?」 「相変わらず麻奈実にはきついな。まだケンカしてんのかよ」 頭の後ろを掻くような仕草を見せる京介。仕方ねえ、とでも言いたそうな目を向けている。 「してないっての。ただ、あたしは麻奈実さんみたいに何でも受け入れられる程、強くなん てないし……それに」 「それに、なんだよ」 「あんたの事、理解できてなかったんだよ? あたしはあんたに……京介に頼ってばかりで ずっと苦しめてきただけ。それなのに……」 胸を締めつける様な感覚に、言葉が続けられなくなるあたし。 自分の想いとは裏腹な感情が湧き上がって、言いたい気持ちを覆い隠してしまう。 「俺には桐乃が必要なんだ。そりゃ、最初の頃は色々思ってはいたさ。何しろずっと嫌いで 話もしたくねえ、なんて思っていた妹なんだからよ。事あるごとに呼びつけられたり一緒に 行動する事も、正直勘弁してくれって感じだった」 「……じゃあ……なんで」 「あの頃の俺は、きっと――桐乃が嫌いだったんだろう。だけど、妹だからな。桐乃は嫌い でも妹は守りたいって気持ちがあったんじゃねえか、そう思ってる」 「嫌い……なら、どうして」 「ほら、良く言うじゃねえか。『嫌い』ってのと『好き』ってのは似てるってよ。つまり、 俺はずっと昔から桐乃が好きだったんだ。きっと俺は桐乃の事が好きすぎて、だからこそ 大嫌いになっちまってたんだ」 京介の言葉に遥か遠い過去を思い出すあたし。 兄妹とは思えないくらい、仲が良かった頃のあたし達。 「分かってる。あんたに言われなくたって、あたしもあんたの事が好き。だけど……あたしは あんたと――京介と兄妹なんだよ。そんなの認められるワケない」 誰よりも強い想いを持っている、そう認識しているからこそ、現実が重く圧し掛かってくる。 それでもあたしは、京介の側にいたい。京介との絆をいつまでも持っていたい。 ――悩みに悩んだ末、あたしが出した答え。それは、 「あたしは――いつまでもあんたと一緒だよ。兄妹だもん。だからさ、あたし達の絆は決して 離れることは無いから、ね」 兄妹として生きる。それがあたしの答えだった。 あたしは、京介の呪縛を解いてあげなきゃいけないんだ。あたし達が例え好き――それ以上の 感情を持ったとしても、それは決して許される訳じゃない。 兄妹は兄妹以上にはなれないから、それは受け入れなきゃだめなんだ。 あたしは正直、今後誰とも一緒になる気もそのつもりも無い。 だけど京介には誰かと幸せになってほしい。それがあたしの本心でなくとも。 あたしは京介の『妹』だから。いつまでも京介にとっての『妹』はあたしだけ。 それでいいじゃん――それで……いいんだ……よ。 気づくとあたしの視界が歪んでいる。いつの間にか泣いていたみたいだ。 「うるせえ! ――俺が守る。誰に何を言われても、俺が桐乃を守ってやる。桐乃を誰より も大切に出来るのは俺だけだ」 「な……京介!? だめだってば」 あたしは京介に抱きしめられていた。 「この馬鹿……っ! あたしの言葉が聞こえなかったっての」 「お前も俺の言葉が聞こえなかったのかよ」 「あんた分かってんの? あたし達は兄妹だか――――っ!?」 無理やりあたしの言葉を遮る京介。 唇の感触は、あたしの決意を徐々に鈍らせていく。 ダメだって……こんなの。早く離れなきゃ……。 「…………」 どれくらい時間が経ったのだろうか。 あたしの力が抜けるのと同時に、京介の顔が遠ざかる。それでもあたしの顔は熱いままだ。 顔の熱さを誤魔化そうと、あたしは京介の胸に顔をそっと埋める。 「兄妹が一緒になれない、なんてのは理解してるさ。それでも俺は……」 震える様な京介の声。 見上げると、京介も泣いているのが見えた。 「桐乃と一緒にいたい。いや、桐乃と一緒じゃなきゃダメなんだよ」 あたしを抱きしめる腕に力が入るのを感じる。 そっか……あたしって、こんなに京介に愛されてたんだ。 夢と現実。男女の関係と家族の絆。兄妹。様々な思いがあたしの中に現れては消える。 それらは迷いへの思考ではない。 あたしは京介の顔を真っ直ぐ見つめる。 「一つだけ、約束だかんね」 「……なんだよ」 「絶対に……あんた一人で頑張らない事。頑張る時は、あたしと一緒だから」 「分かってるさ。さすがにこれだけは俺一人じゃどうにもならねえ。――桐乃」 「何?」 「いつまでも一緒だからな。二人で頑張ればなんでも乗り越えられるって」 ――そうだよね。二人なら、きっとやっていけるよね。 「そうか……なら、とりあえず私を納得させて見なさい」 「ひゃ! お父さん!?」 「お、親父!? 見てたのかよ」 「見てたのかじゃないだろう。軒先で話してれば……ゴッホン。嫌でも聞こえてくるぞ」 「あんた達……言っとくけど、あたしは応援しないからね」 「お袋まで……わかってるよ。これは俺達の問題だ」 「ああ。そういう事じゃないのよ。……頑張って二人でお父さん納得させて見なさい」 「ちょっ!? お袋。そんなんでいいのか」 「まあ複雑だけど……お父さんを納得させられたら、あたしも認めてあげる」 「言っておくが、俺を納得させるのは世界一大変だぞ」 「分かってるって。最初の試練がいきなり最大の試練になりそうだぜ」 言いながらあたしをちらりと見る京介。その目には全く諦めの色は見えない。 あたしは京介に笑い返す。 「いいじゃん。二人の絆がどれだけ強いか、見せ付けてやろうっての!」 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1279.html
556 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/11/18(金) 07 58 34.15 ID NT6tebXl0 きりりんおはよう 起きたらなぜかこんな事が頭に浮かんできたけど 間違ってる気がしない不思議な世界 京介が桐乃(あたし)を愛でるべき10の理由 1.桐乃に対する責任感が強くなります 2.桐乃を守る為にデートしてあげたくなります 3.桐乃のわがままが可愛く見えてきます 4.桐乃に何でもしてあげたくなります 5.桐乃の事が頭から離れなくなります 6.桐乃と毎晩添い寝したくなります 7.桐乃の手作り料理が毎日食べたくなります 8.桐乃といつも一緒にいたくなります 9.桐乃の事がより愛しくなります そして…… 10.桐乃と将来を誓います -------------